掛軸をつくるのは、料理をつくることと一緒

掛軸は料理だ!!

めざせクッキングパパ、ミスター味っ子!!(古い・・・)

数年前に、自分のブログで少し触れましたが、2018年に再度記事としてアップいたします。 

あなたが、もし掛け軸を見る機会があって、どのように掛軸を見ればよいか、わからない時は、料理を見るように見てください。

料理を見る?? いってることがわからないと、思いますが・・・

実は、掛け軸を作る流れは、、料理をつくる工程に置きかえることが出来るのです、順を追ってみていきましょう。


ステップ①
掛軸/作品=料理/素材

料理は素材が命などといいますが、肉や、魚、野菜等々の料理の素材の部分が、掛軸の作品部分となります。そのままでも素晴らしい物や、焼かないと食べれない物等々、様々な素材があると思います。

ステップ②
掛軸/仕立て方法=料理/調理方法

料理では、この素材をどのように調理するか考える部分です。晩御飯ですぐに食べたいので、そのまま出すのか、料亭で手間暇かけた、オリジナル料理として出すのかで調理方法が変わってくるように、掛軸では、作品や使用用途を考えて、機械表装で行うか、伝統工法で行うか、または化学糊を使用して作るかを考えます、

ステップ③
掛軸/取り合わせ=料理/調理(下ごしらえ)

料理では先ほど決めた調理方法に合わせて、その他の具材を足して調理をしていきます。

掛軸では、決まった工法に合わせて作品にあう、生地やデザインを選びます。伝統的な料理にするか、それとも創作料理にするかのように、伝統的なデザインにするか、創作デザインにするか考えます。

ステップ④
掛軸/仕立て=料理/調理

料理では、いよいよ、メイン調理です、下ごしらえした、素材や具材を揚げたり、焼いたり煮たりと、卓越した技術を利用して、美味しい料理に仕上げていきます。

掛軸では、決めた取り合わせに合わせて、綺麗にみんなが鑑賞できるように、そして、掛け軸をずーっと鑑賞できるように、鑑賞する人をイメージしながら作り上げていきます。

ここの部分が、掛軸職人の技が一番出る、職人の見せ場です。

ステップ⑤
掛軸/鑑賞=料理/食事

料理では、調理して出来上がった、料理をおいしくいただきます。その時には一人で食べるのか、みんなで食べるのか、または外で食べているのか等々、様々なシチュエーションがあると思います、掛け軸でも、掛軸が出来上がったら、鑑賞と言う食事があります、美術館にかざるのか、展示会なのか、家のリビングなのか等々、飾る場所によって、美味しく鑑賞できるのか、仕立て方法が間違ってなかったかの判断がここで行われます。


というように、料理も、素材に合わせた調理法を考えて、食べる場所、食べる人を想像しながら、器を料理ごとに変えて、料理をつくっていると思います。
掛軸も同じように、作品に合わせた方法で、出来るだけおいしく鑑賞できるように、考えて掛軸をつくっていきます。


先述した、もし掛け軸を見る機会があって、どのように見ればよいかわからない場合は、この料理の常識を当てはめてみてみてください。

例えば、肉の臭みが強い素材があった、場合の料理は、この肉の臭みを消して美味しく食べれる調理法を選択すると思います。同じように、掛け軸でも、作品が質素で静かな雰囲気の作品イメージの時に、その周りの器(周りの生地)がうまく調和しているか?このデザインは、うまく静かさを引き出して、作品の魅力を引き上げてる等々、作品をまずみて、そこから導き出された感情や感想に向き合ってもらうと、掛軸を見るという事が楽しくなると思いうます。 

料理も同じですが、同じ素材でも様々な調理方法があります、掛け軸も同じ作品でも、色々な完成形があります、その完成形になぜたどりついたのか?? 作り手の想いや作品を書いた作家の想いを、想像しながらみると、さらに、掛軸鑑賞の幅が広がり、掛け軸を楽しむことが出来ると思いますので、もっともっと沢山の人に、掛け軸に興味を持ってもらい、掛軸文化が引き続き後世に、継承していってくれると嬉しいですね。







佐河太心

「日本かけじく協会 代表」 「渋谷の掛け軸屋 代表」「掛軸師」「オルク有限会社 取締役」基本的には掛け軸に関するプロフェッショナル。掛軸に関して知らないことは無い!とは言わないです・・・むしろ、まだまだ勉強中だが、自分の知った知識はどんどん伝えていき、少しでも掛け軸ファンを増やすために日々活動中。

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